スパイリウム

 スチームパンクにぴったりのゲームシステムとアートワーク。

 スパイリウムというエネルギーを生み出す物質が発見された世界で発展を目指すゲーム。プレイヤーは順番に自分の3つのコマを3×3列のカードで構成された場に置いたり自分の手元に戻したりしながらゲームを進める。カードにはスパイリウムを生み出す鉱山やそれを使って勝利点を生み出す工場などの建物、お金やスパイリウムなどをもたらすキャラクターなどが描かれている。

 スパイリウムを獲得する段階からスパイリウムを勝利点に変換する段階へとラウンドを重ねるごとに変化していく中で、勝利点を得るのに必要なカード・資金源になりそうなカードにうまく自分のコマを派遣していくゲームシステムはスチームパンクというゲームのテーマと良く調和している。人気のある建物やキャラクターにコマを派遣して資金を獲得する仕組みは金儲けのために過剰に競争する産業革命を想起させるし、派遣したコマをカードの獲得に使用する場合は手番順を考慮しなければいけない早い者勝ちの仕組みになっていて、こちらもまたスチームパンクにある特許取得競争(Cheapass GamesのU.S. patent No.1など)を連想させる。


 一回目のプレイでは建物やキャラクターカードにどのような能力があるかわからないので手探りのプレイになるが、たぶん二回目のプレイにはカードの価値が分かって、カード取得の早い者勝ちのハラハラ感が増すだろうという印象を持った。写真のようにコマはカードとカードの間に置き、コマの両側のカードを取得できるようになっているため、誰かに先にカードを取られた時のことを考えた保険をかけるようなコマの配置をするかハイリスクハイリターンの配置をするかの選択を迫られる状況もあり非常に緊張感があるゲームだと思った。